小説・貴志祐介「新世界より(上)」〜レビュー〜

貴志祐介さんの「新世界より(上)」の感想です。

ここは病的に美しい日本(ユートピア)。子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。なんてお題目で発売されていて,怖さの中にも見ていたいとう欲求が出てきます。

独特の世界観と長大な冒険に惹き込まれます!とてもおもしろいです。

時代背景なども実に興味深かった。現実を疑い隠された歴史を紐解いていきます。地域コミュニティ単位で生活の管理が徹底され,幼少時から刷り込みの様に教育が行われる。人間は呪力という力を行使することで,それを日常の基盤としています。また知能が比較的高い他の生物から神と畏怖される存在になっています。そこまでに至る背景とは!呪力のその力があまりにも強力だったため人間はある枷を嵌められます。社会を統べる装置としてのそのありようとは!
盛りだくさんな設定が見所の一つだが,手記という形式によって説明が容易になっていたように思います。

個人的に主人公やその他の人達の知識の本の題名が意外とゲームの攻略本だったりしたのがおもしろかったです。囲碁・将棋の本を知らずに戦争に使うのは本来の目的に戻ってこういった遊び心もよかったです!

前半で事象・世界観を反芻しつつ読んで,大人への違和感を感じつつも,夏季キャンプに出発してからの流れは緊張と期待と視野が広がる様な感覚がたまらないですね。
設定はいかにもな感じなのですが,緻密な文章構成,巧みな文章力があり,圧倒的描写がとても楽しめる小説ですね(*´−`*)ノ

前にも読んだことはあるのですが,以前読んだ時よりは理解できたと思います。架空の生き物や機械などが多いので,すぐ想像するのはむずかしいです。アニメにより,想像が補われてくるのがいいですね。アニメと小説では,世界のイメージがいい意味でギャップがあり,楽しめます!

上巻は切なく,期待できる感じで終わりました。続きも早く読んでいきたいと思います。

それでは!